◆環太平洋連携協定(TPP)
アジア太平洋地域を中心とする、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランドなどの9か国で進めている連携協定。農産物や工業製品などの関税撤廃と、医療、労働、金融など、経済社会全般にかかわる規制の自由化を進めるもので、日本が参加すれば国内の農林水産業が壊滅的な打撃を受けるだけでなく、国内の仕組み・基準の変更を余儀なくされると予想される。その影響は、食料自給率の大幅な低下、農薬や食品添加物等の安全基準の引き下げ、外国人労働力の増加による雇用の喪失、国民皆保険制度や地域医療の崩壊、公共事業の入札への海外企業参加による競争激化など様々な分野に及び、地域社会や人々の暮らし方までも一変させる恐れがある
基調講演・鈴木
宣弘東大教授
高知市で開かれた
「TPPの問題を考える
高知県民集会」
木教授の基調講演要旨
正しい情報のもと正常な議論を
参加すべきか、せざるべきか。3月11日の東日本大震災によって一時先送りされたTPP交渉の問題が、11月12、13日開催のアジア太平洋経済協力会議(APEC)に向けて急浮上し、情報開示もなく、十分な議論もないままに参加の決定がなされようとしている。米国からは大震災の打撃に苦しむ日本に、「交渉参加は、今は厳しい要求であろう」との配慮があったにもかかわらず、日本政府内では復興優先を掲げつつも、水面下でTPP交渉参加への準備が進められていたようだ。最初から、ギリギリまで情報を伏せて議論をさせず、うやむやのうちに一気に交渉参加になだれ込む計画ではなかったか。福島県の原発で情報が隠蔽(いんぺい)されたように、TPPに関しても情報操作があったと考えている。さらに、TPPによって社会の仕組みが一変し、日本経済や地域社会が深刻な影響を受けることについては知らぬかのように口をつぐみ、農業だけに影響が及び、農業を何とかすればTPPへの参加が可能だと言っている。偏った報道により、輸出産業を活性化し国益を増大させるTPPに対し、農業界が断固反対しているかのような図式に捉えられがちだが、決してそれだけではない。何をどれだけ失うのかを総合的に判断する必要がある。
県民集会に1000人参加
2011年(平成23年)11月6日(日曜日)高知新聞掲載分
10月になり、急展開を見せた環太平洋連携協定(TPP)交渉。日本がこれに参加する場合、農業だけではなく、国民生活のあらゆる分野に影響が及ぶことが分かってきた。この日本の危機ともいえる状況を共に考えようと、JAグループ高知、高知県森林組合連合会、高知県漁業協同組合連合会、高知県生活協同組合連合会、高知県町村会、高知県町村議会議長会、高知県農業会議、高知県医師会、高知県歯科医師会の9団体が主催して、10月20日、高知市文化プラザ「かるぽーと」で「TPPの問題を考える高知県民集会」が開催された。あいさつの中で、尾ア高知県知事がTPP交渉参加に反対の姿勢を示し、TPP問題に詳しい東京大学大学院の鈴木宣弘教授の基調講演と、4人の各界代表から意見発表が行われた。約千人が参加し、「TPP交渉参加に反対する特別決議」を採択した。