2011年(平成23年)11月27日(日曜日)高知新聞掲載分

「土佐あかうし」販路拡大へ
丹精こめる生産者
▼あかうし守る農家
 土佐郡土佐町で土佐あかうしを育てる川井高広さん(59)は、繁殖・肥育を行う一貫生産の畜産農家。
 20歳の頃から牛飼いを始め、現在は繁殖牛66頭、肥育牛220頭を世話している。雌牛に人工授精で子牛を産ませる繁殖と、肉付きよく太らせる肥育とでは飼い方が異なり、どちらか一方だけを手掛ける農家も多い。
 「あかうしは温厚で育てやすい」という川井さん。目の周りに黒い「毛わけ」があるのが特徴で、「この目黒、鼻黒がかわいらしい。器量がえい!」と目を細める。朝晩2回の餌やりは、栄養のバランスを調える配合飼料と地元産の稲わらをたっぷりと。月齢に応じて餌の配合を変え、効率よく太らせてから28カ月で出荷となる。
 繁殖牛は、体の大きな雌牛を選んで育て、人工授精後に妊娠を確認したら5〜10月の間は町内の牧場で放牧する。

土佐あかうしについて話す川井さん(土佐町
  

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   高知県が誇る食材の一つ、「土佐あかうし」。その数の少なさから、「幻の和牛」とも呼ばれている。2009年から県を挙げてブランド化に取り組み、近年その肉のおいしさが注目を集め、認知度・評価ともに高まってきた。丹精込める生産者の思いを受けて、販路拡大のための取り組みが続いている。
 土佐あかうしは、「褐毛(あかげ)和種高知系」という種類の和牛で、全国でも高知県だけで生産される、希少価値が高い肉用牛である。そもそも和牛とは、日本在来の血統を受け継ぐ黒毛和種、日本短角種、無角和種、褐毛和種の4品種のみを指す。褐毛和種には高知系と熊本系の2系列があるが、血統が違い肉質も異なるので区別される。

▼本県だけの希少な和牛
 明治のころから農耕用の役牛として輸入された韓牛をルーツとし、県内で長い年月をかけて肉用牛に改良されてきた県独自の品種。嶺北地域をはじめ、室戸市から安芸郡一帯、高岡郡梼原町周辺、土佐清水市などで生産され、繁殖・肥育・食肉加工まで全て県内で行っている、まさに「地の肉」である。
 体に脂肪を蓄えにくい体質で、肉はサシの少ない赤身肉。この赤身に濃い甘味とうま味をたたえ、脂は口溶けが滑らかで香ばしい風味がある。脂が少ないためあっさりと食べやすく、ヘルシーな牛肉である。だが、日本の枝肉市場では黒毛和種を基準に等級付けされるため、サシがしっかりと入った肉に高値が付き、土佐あかうしはその味わいとは対照的に価格的評価が低い。生産者は徐々に利益率の高い黒毛和種に切り替え、後継者不在や高齢による廃業も拍車を掛け、土佐あかうしの生産農家は減少の一途をたどる。昭和30年代には県内に3万頭以上いた土佐あかうしだが、現在2700頭となり、国内の和牛177万頭からみればわずか0.15%。まさに「幻の和牛」となっている。

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