2010年(平成22年)6月27日(日曜日)高知新聞掲載分

「あぐりスクール」で食農教育
   昨年11月に行われた第31回高知県JA大会で「環境保全宣言」が採択され、JAグループ高知全体で環境保全活動に取り組むことになった。高知県全体で推進している「エコシステム栽培」について、県園芸連に話を伺い、エコシステム栽培に取り組むJAとさしのピーマン部会を訪ねた。
  高知県はナス、キュウリ、ピーマンなどに代表される野菜大国。それと同時に、環境保全型農業に取り組む先進県でもある。エコシステム栽培とは、化学合成農薬の使用を極力抑え、大気や土壌への負担を減らし、地球環境の保全に寄与する栽培システム。天敵昆虫による害虫駆除をはじめ、さまざまな要件を組み合わせて行う。
  害虫の侵入を防ぐために防虫ネットを張ったり、従来はホルモン剤を使って人工的に行っていた授粉を、ハチなどの昆虫を利用して行うのもその一つ。作物により要件を組み合わせ、適した栽培システムを構築。県園芸連の審査登録制度である。他県に先駆け、1998年ごろから安芸市や安芸郡芸西村などの県東部で研究・試用が進んだ。その後、2000年9月から「エコシステム栽培」としてスタートした。
   当時は牛肉の牛海綿状脳症(BSE)や輸入野菜の残留農薬が社会問題となり、人々の関心が食の安全・安心へと向かっていた。しかし、安全なものを求める一方、野菜の商品価値は外観によるところも大きい。今でこそ傷や不ぞろいの野菜は「規格外野菜」として食卓に上ることもあるが、一般的には見た目の整ったものの方が需要が高い。傷や虫食いのない野菜を作るためには、農薬散布による防除は欠かせない農作業の一つだった。
  現在の日本における農薬の使用は、使用方法・適用作物などの適正使用基準が厳格に定められており、これに従って使用されている。農薬が進化し安全性が高まる中でも、農業を基幹産業とする県では、農家の暮らしと健康、農作物の価値を高めるために、さらに新しい栽培方法を模索していた。それが天敵昆虫を使っての害虫駆除や、害虫の動きを鈍くする紫外線カットフィルムの利用、繁殖を妨げる黄色防虫灯の設置などの「総合的病害虫・雑草防除管理(IPM)」である。
       

基準に従って栽培された出荷品には「トンボのマーク」を表示している(県園芸連提供)
全国に先駆けるエコシステム栽培

みどりの広場TOPへ

次のページへ

1 / 2 / 3